創価大学教育学会

創価大学教育学会>書庫>2014年 第13回大会研究発表抄録
研究発表B-2

小学校 中・高学年 体育科「表現」における学習評価について

佐野弘志(創価大学教職大学院 教職研究科教職専攻)

問題の所在

文部科学省(2013)は「体育科のダンス系領域の指導は、「技能の指導が難しい、どのように指導したらよいのか分かりにくい」ということがよく聞かれます。」としている。そして、「創造的なダンスでは、他の多くの運動領域のように具体的な技や技能の系統性や構造がはじめにあって、易しいものから難しいものへとその習得を段階的に目指すものではない」と述べている。さらに、「子ども一人一人の多様な表現を認め、引き出すことによって、広がる多様な技能」とダンス系領域の技能指導の困難さについて記している。また、文科省(2013)は「創造的なダンスにおいては、ゴールがいくつもあるため、何をどのように評価すればいいのかが分かりにくいと感じる教師も多い」と評価の困難さについても指摘している。

今日は評価を評価だけに終わらせることなく、児童の学習の到達度を適切に評価し、指導の改善に生かす指導と評価の一体化が叫ばれている。そこで、ダンスの特性に応じた技能評価のポイント等を取り入れたルーブリックを活用し、効果的・効率的な評価をすることにより、評価面の向上が指導面の向上に還元できると考えられる。

研究の目的

今回、児童が自己評価、相互評価や個人内評価し、自己内対話できるように教師だけでなく児童の視点でも考えられるルーブリックを作成し、指導と評価の一体化を実現できるようなルーブリックのあり方を研究することを目的とする。

最終的には、ルーブリックをためて、ポートフォリオ評価として、指導と評価の一体化からさらに進んだ段階かつ、より高次元である児童自身の学習と評価の一体化の実現に繋がっていくと考えられる。

研究方法

(1)文献研究
(2)指導と評価計画の比較、検討
(3)専門家へのインタビュー、学会への参加
(4)(1)~(3)に基づくルーブリックの作成

結果

・指導と評価の計画には、効果的・効率的な評価を行う工夫が必要である。
・評価の妥当性・信頼性を高めるために、指導を重ねる中で児童の動きや活動の様子を多く見ることや教員が共通の認識を持ち、学校として組織的に取り組むことが重要である。
そのほかのことにつきましては、当日に詳しく説明いたします。

キーワード:表現,ルーブリック,指導と評価の一体化

≪引用・参考文献等≫
・国立教育政策研究所 評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料 小学校、体育
・文部科学省 平成25年3月 学校体育実技指導資料 第9集 表現運動系及びダンス指導手引き
・(公社)日本女子体育連盟創立60周年記念第48回全国女子体育研究大会(東京)関連資料
・香川大学教育学部付属高松小学校(2010)『活用する力を育むパフォーマンス評価~パフォーマンス課題とルーブリックを生かした単元モデル~』明治図書