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創価大学教育学会>書庫>2014年 第12回大会口頭発表抄録
口頭発表C-1

メタ認知と学習における自己効力感の関連について

吉見 真美(創価大学教職大学院 院生)

I はじめに

本研究の目的は、児童のメタ認知能力と学習における自己効力感の関連について検討することである。小学校中学年頃から、物事をある程度対象化して認識することができるようになると同時に、自分のことを客観的に捉えられるようになるといわれている。また、自己に対する自信などを持ち始める時期であるといわれている。

筆者は、自分のことを客観的に捉えることをメタ認知能力とおきかえた。学校において、テスト終了後にテストが「(おおまかに)よくできた」という児童に限って結果が悪く、「あそこができなかった」という児童の方がテスト結果と予想が一致している事が多い。このことから、このメタ認知能力が高い児童ほど、学習における自己効力感が高いのではないかと考える。筆者の言っているメタ認知能力は、算数のテスト毎に、児童自身の解答について自己予想させ実際との一致度を得点化したものをいう。本研究では、メタ認知能力が高い児童と低い児童では学習の自己効力感にどのような関連があるかについて検討した。この関連を明確にしていくことで、授業の進め方、学級担任としての児童に対する助言や支援等にヒントを与えるものになるのではないかと考える。

Ⅱ メタ認知と自己効力感

メタ認知は、1970年代にフラベルやブラウンの研究により、認知心理学の領域を中心に盛んに検討がなされてきた。一般的に、メタ認知の「メタ」とは「高次の」という意味で、つまり、認知(知覚、記憶、学習、言語、思考など)することを、より高い視点から認知することを言う。メタ認知には、次の二つのはたらきがあるといわれている(三宮、1995)。一つ目は、認知作用の状態を判断するために蓄えられた、課題、自己、方略、についての知識をメタ認知的知識という。二つ目は、メタ認知的知識に照らして認知作用を直接的に調整するモニター、自己評価、コントロールの技能をメタ認知的技能という。

次に、「自己効力感(self-efficacy)」は、バンデューラ(1977)が提唱したものであり、自己に関する信頼感や有能感のことを言う。

Ⅲ 研究の内容

調査の対象および調査期間

調査の対象者は、実習校の小学第3学年から第6学年の児童、248名である。調査期間は、平成24年11月20日から平成25年2月初旬である。

調査・研究方法

①学習における自己効力感についての調査

特性的自己効力感尺度(成田ら、1995)を参考にし、学習における自己効力感の尺度を児童用につくりかえ、児童の学習における自己効力感をはかった。質問は、全23項目で5件法を用いた。

②児童のメタ認知能力をはかる方法

算数の単元ごとに行われる業者テストを児童が自身の解答について自己予想を行う。児童がテストを解き終えた後に、問ごとに自信がある問題には○、間違っていると思うものには×、少し自信がない問題には△、といったように記号を付けさせた。採点後に児童の予想と実際を照合し、予想と実際があっていれば2点、予想と実際が異なれば0点等と点数化しその合計得点が高いほどメタ認知能力が高いと判断した。

Ⅳ 結果と考察

・メタ認知能力についての第3学年~6学年全体、学年別、クラス別、男女別の分析

・学習における自己効力感についての第3学年~6学年全体、学年別、クラス別、男女別の分析

・メタ認知能力と学習における自己効力感についての第3学年~6学年全体、学年別、クラス別、男女別の関係・分析

本研究の結果をもとに、小学校中学年以降の児童のメタ認知能力と学習における自己効力感とがどのような場合に関連しているのか、または関連していないのかを考察していく。

キーワード:メタ認知、自己効力感、算数テスト