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創価大学教育学会>書庫>2011年 第10回大会口頭発表抄録
口頭発表C-2

全国学力調査と読解指導の変遷
 ~読解力低下と読解指導過程の分析~

松本 佳子(創価大学教職大学院 院生)

Ⅰ. はじめに

2003年に実施されたPISA(OECD学習到達度調査)の読解リテラシーにおいてスコアの低下に端を発した「PISAショック」でも顕著であったように、読解力の低下が指摘された。そのような背景からの改善を図った今回の新学習指導要領では、「思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題、知識・技能を活用問題に課題」があると示し、各学年の指導事項の内容も「習得→活用」の学習スタイルを効果的に機能させるために国語科の学力構造を整理した内容であることが伺える。

43年ぶりに全国一斉学力テストが実施されたが、1956(昭和31)年に文部省全国学力調査において、同じように読解力が特に不足していることが指摘されている。1956年調査の結論では(1)~(7)の項目が掲げられ「(2)文を読む能力は、出題の要求基準に対して非常に劣っていた。特に小・中学校において要点とかねらいを把握する能力、文脈を把握する能力が欠けていた。」とある。また、「読解の小学校独自の問題は二題あったが、物語の方は比較的よくて、説明文の方が悪い」などその原因として「現代生活における、まんが、ダイジェスト、その他の軽い読み物を中心とする読書状況によってだんだんと破壊されている。」と報告書にある。その後法的拘束力を持った昭和33年学習指導要領のもと調査後短期間のうちに日本全国で読解の学習指導方法が広まり説明文の教材研究に研究の重点がおかれるようになった。

1956年の全国学力調査と今回のPISA調査の結果からの読解力低下について調査方法に相違はあるが、50数年を得た現在においてなお読解力の低下があることに着目したい。1956年代からの読解指導の史的変遷と1998(平成10)年以降の読解指導の学習指導方法を検討し考察していきたい。

Ⅱ. 研究について

1. 方法

・全国学力調査報告書、国語科、読解指導について参考文献,参考資料の考察
・1998年~の学習指導案の検討

2. 研究の内容

(1)昭和31年における全国学力調査の結果と考察
 ・調査からみた読解力の低下における結果と分析
(2)昭和30年代の読解指導過程の変遷
 ・昭和30~40年における読解指導の変遷
 ・読解指導の変遷からみる分析と考察
(3)平成10年~20年における読解指導過程
 ・2003年PISA調査の結果と考察
 ・平成10年度学習指導要領の特徴
 ・平成20年度学習指導要領改訂の特徴
 ・平成10年~20年における学習指導案の分析
(4)昭和30年代と平成10年代の読解指導の比較

Ⅲ. 研究の仮説

1.

1956(昭和31)年の全国学力調査と2003年PISA調査から読解力の低下が指摘され、それぞれの年代から読解指導過程の傾向を明らかにすることで読解力低下と読解指導過程の関係がみえてくるだろう。

2. 仮説検証の分析観点

(1)昭和30年~40年代の読解指導の分析
 ・読解指導過程の変遷を分析
(2)平成10年~平成20年代の読解指導の分析
 ・学習指導案から分析・検討

Ⅳ. 結果及び考察

1.昭和31年の学力調査における読解力低下と読解指導との関係・分析
 ・読解力低下と読解指導においてどのような関係があるか考察する。
2.PISA調査の結果における読解力低下と平成10年~平成20年の読解指導との関係・分析
 ・PISA調査の読解力低下と平成10年~20年の読解指導おいてどのような関係があるか考察する。
3.昭和30年代と平成10年代の全国学力調査と読解指導の分析を考察する。

キーワード:全国学力調査 PISA調査 読解指導 学習指導要領