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創価大学教育学会>書庫>2008年第7回大会口頭発表抄録
口頭発表B3/教室B403

教職大学院における実習研究の試みと課題
~西東京市立東小学校での実習研究経過報告~

靍田由紀子(教職大学院人間教育プロフェッショナルコース)

はじめに

本年4月よりスタートした教職大学院制度によって開学した創価大学教職大学院生として9月から連携協力校にて実習をおこなっている。
教員免許を取得している院生が自身の研究課題をもって現場にいき、経験したことを大学へ持ち帰って検討する、実践と検討の往復作業の中で、教育について俯瞰し変革していく力と、実践力を磨くことがねらいであるが、各院生のこれまでの経験、研究課題、また連携協力校の特色によってその実践は多様であり、教職大学院生の実習研究のあり方、方法について、大学、院生、連携協力校の3者の模索の中での試みである。
今回、自身の実践の経過を報告することで、自身の研究の現状と今後の課題を明らかにするとともに、教職大学院における実習研究の意義についても改めて考えていきたい。

1.目的

[1]教職大学院生が行う実習研究の意義とそのあり方を検討する。
[2]国語の授業を主に観察、実践し、言葉の力と自己表現能力の関係性を探り、自分の言葉で表現し学びあう授業づくりを考える。

2.方法

[1]6年生34名、4年生27名の学級を定期的に訪れ関与観察を行う。
[2]自身の観察、担任教諭の話などから、学力面、生活面それぞれ抽出児を決め、行動観察を通して自己表現の方法や言葉の力を調査する。
[3]6年生国語科「やまなし」:コンピュータで場面を描きながら読むという担任教諭の実践を記録し、表現に顕れる児童の読みの力を検証する。
[4]6年生国語科「平和のとりでを築く」:授業実施予定。(指導案検討中)

3.自己研究課題の視点

[1]言葉の力と自己表現、他者理解
言葉の力は、自分を認識、消化し表現する力、また他者に伝える力に直接関わってくる。話すより、叩いたりけったりしてじゃれあうことで友達と関わることが多い児童は、言葉による自己表現や他者理解を苦手とし、国語も苦手であることが多い。言葉の力が伸びていくことで自己理解、自己表現の力が伸び、他者との関係もよりよくしていくことができると考える。抽出児の自己表現の様子、友達との関わりを記録し、変化をおっていきたい。
[2]児童の表現を生かす教師の態度
児童が自分を表現するには、それが受容され活かされる雰囲気があることが必要である。教師の態度はその雰囲気を作り出す大きな要因となる。授業中(主に国語)、日常生活それぞれにおいて、児童の反応に対する教師の態度、また教師に対しての児童の反応を観察し検討していきたい。

4.経過報告

9月1日より10日間連続し、その後は基本的に毎週一回金曜日に実習に行っている。適度な距離を保ちながらも、学級の中に入って授業参観、実施授業をし、児童一人一人について自分がもった印象や、その日の出来事、また担任教諭の児童一人一人のとらえ方や児童の持つ背景について話を聴かせていただき記録している。児童への自分の印象と担任教諭の印象の違い、毎週顔を合わす毎に変化していく児童の様子や、自分の児童のとらえ方の変化に気がつかされている。
10月より6年生は国語科「やまなし」の単元に入っている。5月、12月それぞれの場面の展開を絵と文で表現して読みとり、その中でも「作者が一番伝えたい場面」を考えコンピュータを使って絵に表わす。
すぐに要点をおさえて表現できる児童がいる一方、実際に登場しているのがかにであるということを理解するところからつまずく児童もいる。抽出児の授業中の反応、ノート、作品を中心に記録をとっている。

5.今後の課題

・6年国語科「平和のとりでを築く」:児童の表現をうながし、活かす授業の検討。
・児童との信頼関係構築。
・児童記録の整理、価値づけ。