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創価大学教育学会>書庫>2015年 第14回大会研究発表抄録
研究発表D-1

福島原発事故4年半後の事実-空間線量測定,除染,国道6号線問題-

齋藤隆雄1/阿弓英明2/藤原菜摘2/堀越陽子2/高橋大地1/中山勇輝1/梅津累3/小林大地2
創価大学教職研究科1,創価大学教育学部2,創価大学卒業生(教員)3

1.はじめに

2011年3月に起きた福島第一原子力発電所の事故から4年9カ月が経過した。震災に関連した報道も少なくなり,現地の状況を知る機会も減ってきている。しかし,福島には今も様々な問題が残されている。事実を知り,教育者を目指すものとして自分にできることは何かを考えたのが本研究の動機である。 4年生は,3年時より創価大学教職大学院の桐山ゼミで,原発・放射能や健康被害について学び,現地調査を行った。その経験も含め,発表を行う。

2.放射能測定

原発事故から4年5ヶ月が経った福島県の現状を知るため,アウシュビッツ博物館を見学し,福島市花見山公園,阿武隈川河川敷,富岡町側道付近にて放射能調査(空間線量率の測定,サンプル採取など)を行った。空間線量率の測定は地上と1mの位置の2箇所でそれぞれ行った。測定を行った多くの場所では,空間線量率は0.2μSv/h程度であった。八王子市創価大学近辺では0.08μSv/h程度であることと比べると少し高いことがわかるものの,それほど大きな差は感じられなかった。しかし,花見山や阿武隈川河川敷の人通りの少ない道や草の茂った場所で測定を行ったところ,0.4~0.9μSv/h程度の場所があった。また,サンプルの土壌から,1000~10000Bq/kg程度の放射能(主として137Cs)が見つかり,八王子市創価大学近辺(200~300 Bq/kg)と比較すると,5~50倍程度になることがわかった。以上,福島市の空間線量率と土壌の放射能から結論すると,我々の測定した範囲では,人々が安心して生活を送ることはまだできない可能性が示唆された。

3.福島市の除染

8月に行った現地調査の際に渡利地区における平成23年から現在までの放射線量を測定・記録した資料を公明党の丹治誠市議より頂いた1) 2)。それを元に,除染の効果について検証した。渡利地区の除染は,平成24年2月に始まり,平成25年12月に終了している。そのため,除染の前後を比較するのに最も妥当な平成24年3月と平成26年3月のデータを用いた。仮に134Csと137Csが同量で存在し,除染をせずセシウムなどの放射能が流れていかないと仮定した場合,放射線量は2年の自然減衰で6割に減るという試算がある。平成24年3月から平成26年3月の2年間で,放射線量は4割に低下していた。これは自然減衰よりも大きい。しかも,平成24年には半減期の短い134Csは137Csより少なかったため,上述の前提よりも自然減衰は少ないなかでの低減なのである。この低減は除染によるものと考えられる。

4.国道6号線問題

原発事故により帰還困難区域として通行が制限された国道6号線(双葉町-富岡町間)が事故から3年半後に開通された。今回その国道を実際に通行し,空間線量率を計測した。距離は13.9km,時間にして16分間の走行であった。区域に入ると徐々に線量が上がり,福島第一原子力発電所の近くでは高線量を計測した。クリアパルスA2700で測定した値は,約7km地点では瞬間的に7~8μSv/hにまでなり,東京の100倍の線量であった。国道内には警備員や作業員の方も多く,防護服などは装着せずにマスクや作業服,ヘルメットのみ装着で作業しているように見えた。また,沿道交差点等にはバリケードが設置され,脇道への通行は厳重に規制されていた。今回測定された数値から見ても,決して安全であるとは言い切れないこの区間を,本当に通っても良いのだろうかと不安に思う。

5.おわりに

福島原発事故はまだ続いている。ほとんど報道されないからといって,決して忘れ去られてはならない。我々は,過去の事実から学ばないといけない。

≪引用・参考文献≫
1) 福島市環境課HP
2) 福島市除染推進室HP