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創価大学教育学会>書庫>2011年 第10回大会口頭発表抄録
口頭発表A-4

教員養成の課題と教職大学院の使命
 ―「実践共同体」としての教員・学生協同授業の可能性―

成清 敏治(世田谷区立烏山中学校)

1. 教員養成の課題

2010年9月に公表された「教員の資質能力向上方策の見直し及び教員免許更新制の効果検証に係る調査集計結果【速報】」における、学校長へのアンケート「必要とされる教員の資質能力の充足度」での初任者教員に対する評価回答は非常に厳しい結果である。

「子ども理解力」や「児童・生徒指導力」の不足を指摘している現状は、これからの教員全体の構成を考えていくときに、大きな課題として立ちはだかっている。こうした状況で、教員養成はいかにあるべきかを具体的に考えていかなければいけない時期に差し掛かっているといえよう。

2. 教職大学院の役割

教職大学院は、現代的教育課題に応える実践的指導力に富んだ、「スクールリーダー」の養成を目指している。管理職でもなく、教科に強い教員でもない、新しい概念の教員である。大学の教員養成で浮き彫りにされている課題を克服することが目的である。

子どもたちの学ぶ意欲の低下、社会性の不足、いじめや不登校の深刻な状況が指摘されている。その状況を真正面から受け止め、教員と生徒、教員相互、教員と保護者、学校や地域、そして教育委員会との関係を媒介し、専門家・専門機関とも連携・協働していく主体的力量が、いま「スクールリーダー」には強く求められている。

しかし、教職大学院を修了してしまうと、その成果を集約できる機関がなく、それぞれの連携にとどまってしまっているなどの課題がある。また、教員養成段階の学生と教職大学院生(または修了生)との意見交流や授業参観などがあると、教員養成と教職大学院との接続、課題の共通認識等がより深まると考えられる。

3. 「実践共同体」としての道徳授業

「あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団」のことを実践コミュニティという。現代の教育課題は、教員や教員を目指す学生、それに子どもに関わっている様々な人々と連携していく必要がある。

5月に学生から東日本大震災でのボランティアを通して授業実践できないか、と話をいただいた。9月に行う予定の道徳授業の目標と同じテーマであるので、協同授業の計画を立てることにした。

本年9月13日と14日、創価大学宮崎ゼミの学生6名と道徳授業の実践を行った。6月より授業指導案を協議しながら、今回の道徳授業の目的である「集団の意義、集団の質の向上」を協同して考えていった。

そこでは、指導教員と学生という上下関係はなく、課題を共有しながら、授業実践を考えていった。学生の体験活動を基軸としながら、生徒の日常生活を振り返る授業である。生徒の振り返りの分析はこれからであるが、体験から伝わる確信ある言葉は、生徒の琴線に触れたように思われる。

課題としては、学生との予定を合わせることや大学の授業が進行している状況のなかでは実現性が薄いことである。

キーワード:教員養成、実践共同体、協同授業