環境教育は今や誰もが唱えており、その必要性を疑う人はいない。「地球規模で考え地域で行動するThink Globally Act Locally」というローマクラブのスローガンのように、世界のことを考え、地域に貢献できる子どもの育成を目指す必要がある。
現在、アジア地域の発展途上国における環境問題は、きわめて深刻な状況にある。大気汚染、酸性雨、河川や湖沼水の化学物質汚染や富栄養化、廃棄物、水不足、熱帯林の伐採も大きな問題である。また、多くの発展途上国では、経済発展が優先される反面、生活の基本となる安全な飲み水や食糧、医療・公衆衛生サービスがいまだに行き届いていないのが現状である。
このような発展途上国での環境教育は、科学技術と共に環境問題解決のために欠くことのできない取り組みである。
そこで、インドネシア共和国を例に発展途上国での環境教育を、特にごみ問題に関する子どもと教師の意識調査から考察していきたい。
インドネシアの教育制度は日本を含む多くの国と同じである。小学校が7歳からの6年間、中学校が3年間で、ここまでが義務教育である。その後は高校3年間、大学4年、修士2年、博士2年となっている。幼稚園はほとんど私立で、行く子どもは半数未満である。このほかに職業高校と諸種専門学校が並存する。
他の国と違うのは、すべての学校教育の段階に教育文化省管轄の学校と宗教省管轄のイスラム学校があり、どちらを選ぶのも自由である。しかしイスラム校生徒は10%前後で、カリキュラムも宗教の時間が少し多い他はほぼ共通している。
○日時:平成19年7月30日~8月21日
○実施:インドネシアスラバヤ市小学校6校(公立4校、私立2校)
○対象:第6学年児童(409名)、第6学年担任教諭(35名)
○方法:質問用紙によるアンケート調査
ごみ山で生活するスカベンジャーがいるのが当たり前の環境で育つ児童は、ごみ問題への関心が高い。しかし、65%の児童はごみの分別をしたことがなく、ごみは回収された後どこへ行くのかも知らない。同じことが教師にも言える。Fig. 1で示す通り、児童・教師共に環境問題に関心があり、学び教える意欲はある。今後環境教育の世界的な普及は、子どもたちの未来にとって不可欠である。
キーワード:環境教育、意識、インドネシア